建物劣化診断調査
マンションは経年により外装がへたってきます。見た目や躯体を保護するため、一定期間ごとの補修が必要になってきますが、この間隔も建物によりケースバイケースです。10年を超えたくらいで、一度調査を依頼するのが良いでしょう。
外観診断
主に、外壁のひび割れの状況や程度を見ます。シーリングや塗膜の状況も目でわかる範囲で診断します。
旧塗膜分析
旧塗膜の樹脂に何が使われているかは外観ではわからないため、赤外吸収分析にまわし、樹脂の塗膜の種類を判別します。
塗料には主に、顔料、樹脂、溶剤が含まれており、耐久性(耐候性)に影響するのが樹脂です。一般にアクリル→ウレタン→シリコン→フッ素となるほど、耐久性が上がっていきます。
新築時は、ディベロッパーの厳しい価格統制が行われており、塗料についても価格チェックが入ります。うちのマンションでも、旧塗膜は分析の結果、安いタイプのアクリル系樹脂塗料でした。これだと、5年くらいの耐久性しかないことになってます(≧∇≦)。
補修には、一番コスパが良いといわれるシリコン系樹脂塗料を用いることとし、色は住民のアンケートで決めます。
外壁塗膜付着力強度試験
塗料と下地コンクリートとの密着度を物理的に調べます。塗料のグレードが低い、塗ったときに下地処理を確実にしていない等の要因で劣化の進行は早くなり、剥がれやすくなります。
南面、北面など、それぞれの方向で行います。
躯体コンクリート中性化試験
塗膜の劣化やひび割れ等により、空気中の炭酸ガスが侵入するとコンクリートが本来持つアルカリ性が次第に中性化され、内部にある鉄筋が錆びる危険性があります。外壁をコア抜きしたものに、フェノールフタレインを散布して、診断します。
陽の当たる南面や、道路に面した排気ガスがあたりやすい面が、中性化が進みやすいです。
劣化度判定
以上の、それぞれの項目から総合的に劣化度が判定されます。
どこに依頼するか
この調査は、管理会社との管理委託契約とは別の契約、別料金となります。管理会社には、頼みやすいかも知れませんが、別の塗装会社に丸投げされ4割ほどのマージンをとられるのでオススメ出来ません。地場の信頼出来そうな塗装工務店に直接依頼するのが良いでしょう。また、この調査は、その後の本番外装工事の試金石ともなります。しっかりした調査工事をやってくれたなら、本番の工事もしっかりやってくれる確率は高くなります。