マンシオンに住まふ

マンション生活やその他諸々

マンションにおけるコミュニティ再考➃

アメリカにおけるコミュニティワークの変質

 ただし、戦後GHQが日本において目指したはずのコミュニティワークも、本国アメリカにおいて1960年代に入り変質を遂げることになる。1964年にジョンソン大統領による「貧困との戦争」によって、様々な福祉プログラムや施策が、特に黒人コミュニティにおいて実施されることとなった。そして、この過程において、今までのコミュニティワークの有効性への深刻な疑問が出てきたのである。すなわち、地域性を基盤としたコミュニティよりも、人種などのエスニックグループといったまとまりの方が強い力を持つようになったことが明らかになった。

 また、ソーシャルワーカー社会福祉機関の専門分化も進み、地域の社会福祉団体の連合よりも、全国レベルで専門的な連合が進んだ。

 こうした流れのなかで、地域(コミュニティ)に根ざした団体よりは、属性(人種、性別、専門分野等)を根拠にした民間非営利組織(NPO)へと再編成されていき、これが現在のアメリカの主にNPOによるソーシャルワークへと繋がっているのである。