マンシオンに住まふ

マンション生活やその他諸々

マンションにおけるコミュニティ再考➅

ゲマインシャフト(町内会=共同体)からゲゼルシャフト(管理組合=社会)へ

 つまるところ、コミュニティとは地方福祉、すなわち、ほとんどが福祉の問題へと還元されるものである。前述したように、アメリカにおいては福祉は政府が直接行うものではなくNPO等が行うものであり、日本においては福祉は政府に丸投げ状態、というようにかなり国家の福祉観が異なることにも留意すべきである。

 テンニース(1855〜1936)によれば、人間社会が近代化すると共に、地縁や血縁、友情で深く結びついた自然発生的なゲマインシャフト(共同体)は衰退していき、代わりに利益や機能を第一に追求するゲゼルシャフト(社会)が人為的に形成されていくということである。

 マンションの管理組合は、共同で所有する財産の管理を目的とし、専門性が要求されるゲゼルシャフトであり、地縁等で結びついたゲマインシャフトではない。

 そういった意味で、国交省がマンション標準管理規約から、管理組合の役割として「コミュニティ」の語句を削除したのは、極めて真っ当であったと言えるのである。